カンカンカンカン、と警報機が鳴り、するするっと黄色と黒のシマシマの棒が降りてくる。
踏切と聞いて、万人がイメージするのはそんな光景でしょう。
・・・いやいや、うちの近くの踏切は赤と白だよ。
どこからともなく、そんな反論が聞こえてきたような気がしますが、本日の主題はそこではございません。
少なくとも私が小学生だった昭和50年代、私の住んでいた町では、まだそれは常識ではありませんでした。
いや、もちろん現在のイメージどおりの踏切もありましたが、そうでない踏切もまだまだたくさんありました。
そう。
警報機も、遮断機もない踏切。
私の通っていた小学校の学区内にも、そんな踏切がありました。
同級生の中には、家に帰るにはその踏切を通る方が近いという子もいましたが、通学路は安全優先でぐるっと回り道。踏切前後の見通しはとても良かったし、それほど危険な踏切ではなかったのかもしれませんが、みんなちゃんと規則を守って、まいにち遠回りして通っていました。
さて、こんな警報機も遮断機もない踏切のことを「第四種踏切」というのだそうです。
ん〜?第四種?
ねえねぇ、それじゃあさ。
第一種は普通の踏切として、第二種とか第三種って何〜?
実をいうと、第三種は子供の頃から知っています。
愛読していた学研の図鑑「機関車・電車」に、イラスト入りで説明が載っていたのです。
警報機はあるが、遮断機は無い踏切、それが第三種。
あの頃の「学研の図鑑」は、とても詳しくて難しくて、何ともとっつきにくいのですが、わからないなりに興味のあるページだけ何度も眺めているうちに、あるときカーンと頭の中に入ってきて、ワクワクが止まらなくなるような魔力がありました。妥協のない研究者に教えを乞うているような、そんな不思議な本だったように思います。
久しぶりに書店で学研の図鑑を手にとってパラ読みしてみたら、綺麗だしリアルだしわかりやすいし、すっかり別の本になってしまったのですね。確かにビジュアル的には今の方がずっと魅力的なのですが、ばりばりと固いせんべいを噛み砕くような、昔の図鑑のあの歯ごたえが懐かしく思い出されるのであります。
閑話休題。
そういえば、学校への近道にあったあの第四種踏切にも、私が小学2年生の時に警報機が設置されました。
学校帰りに鳴り始めると、踏切に合わせてカンカンカーンと友達一同で合唱するのがお約束でした。
遮断機は無かったから、あれが第三種踏切だったということですね。
あの踏切、今はどうなっているのだろうとGoogleのストリートビューで調べてみたら、しっかり第一種踏切に整備しなおされていました。そりゃそうですよね。あれから40年経ったのですから。
ちなみに、いろいろ調べているうちに、こんな資料を見つけました。
これによると、全踏切に占める第一種踏切の割合は、昭和50年には半分にも満たない43.8%だったものが、10年後の昭和60年には69.4%に大幅に増加しています。私が小学校に通っていたのは、まさに第三種・第四種踏切がどんどん駆逐されていった時期だったのですね。
ちなみに第二種踏切というのは、「踏切保安係を配置し、一定時間内の列車に対し、遮断機を降ろして道路を閉じる踏切」(日本民営鉄道協会「鉄道用語辞典」より)で、今はもう残っていないそうです。
「始発から終発までの列車に対し、遮断機を閉じて道路を遮断する」のが「第一種乙」だそうなので、第二種は「列車が通るのに、遮断機が下りない時間帯がある」踏切ということですよね。遮断機が下りていないから大丈夫と思ったのに列車が来るとか、第四種より怖いじゃないですか。全廃されてよかったですね。
前置きが長くなりましたが、というわけで今回のテーマは、東京駅から一番近い「第四種踏切」と「第三種踏切」。探してみることにしましょう。
机上探索編
えーと、今回は机上探索編は無しです。
というのは、「あるとしたら、都電荒川線じゃないの?」と予想したから。
東京駅から見て、都電荒川線より近いところに第四種とか第三種とかあり得ません。そう言い切ってしまっていいですよね。第2回で見た越中島支線にもありませんでしたし。
【2023/2/19追記】 そういえば、東海道貨物線にあったりしないだろうか…と気になって調べてみたら、大井ふ頭に第三種踏切を見つけました(→Googleストリートビュー)。 確認したところ、このレポートでこのあと紹介する踏切と比べて、東京駅からちょっとだけ遠かったので、「一番近い」の検証結果に影響はありませんでしたが。「あり得ません」なんて言ってはいけませんでしたね。ちゃんと調べなければ。反省。 |
そんな訳で、今回はいきなり現地訪問編にまいります。
もし見つからなかったら、改めて机上探索ってことで。
複数見つかった場合は、候補A、候補B… とリストアップしておいて、後でどこが「一番近い」か検証することにしましょう。
現地訪問編 都電荒川線 2019年9月17日
またしても昔の記憶ですが、昭和50年代後半、中学生になった私は都電荒川線の沿線へと引っ越していました。当時の荒川線には小さな第四種踏切がいくつもあって、なかには個人宅専用の踏切(家の敷地が道路に面していなくて、踏切を渡らないと家に入れない)なんてものもあったのを覚えています。
そんな「プライベート踏切」もあった都電雑司ヶ谷-鬼子母神前の区間は、その後に大規模な道路工事が行われ、第四種踏切は一掃されてしまいました。でも、もしかしたら起点から終点まで乗りとおせば、どこかに1つぐらい残っているかもしれませんよね。そんな淡い期待を胸に起点の早稲田へと向かいました。
三ノ輪橋行きの電車に乗り込み、踏切を見落とさないように一番後ろに陣取ります。
都電荒川線は、早稲田からしばらくは、新目白通りの中央分離帯のような格好で線路が敷かれていて、都電も路面電車らしく道路信号に従って走ります。3分ほどで新目白通りを離れて「鉄道らしい軌道」になり、踏切が現れはじめますが、以前私はこの近所に住んでいたので、早稲田から4つめの「都電雑司ヶ谷」までの間には第四種踏切も第三種踏切も無いことを元々知っています。なので、都電雑司ヶ谷から「踏切チェック」を始めることにしましょう。
都電雑司ヶ谷から終点の三ノ輪橋まで、いったい幾つの踏切があるんでしょうかね。所要時間は50分弱、私の集中力は持続するのでしょうか。ちょっと心配です。
1つめ、2つめ、遮断機も警報器も普通にあります。第一種踏切ですね。3つめ。おや…?
遮断機、なし。警報機も…なし。
見つからないかもしれないと思っていたのに、いきなり見つけてしまいました。第四種踏切じゃないですか!
慌てて次の東池袋四丁目で下車、踏切へと向かいますが…。
あれれ?踏切に通じる道が見当たりません。どういうこと?
このあたりにあるはずなんだけど… よくよく探すと、家と家との隙間、幅1mばかりの細い路地の奥に、わずかに黄色と黒の縞模様があるのを見つけました。おぉ~あれですねっ。
候補A 都電雑司ヶ谷-東池袋四丁目間の踏切
道というよりは個人のお宅の庭先に回るような、いかにも私有地ですって感じの通路で、入っていいの?こちらのお宅にお断りしなくて良いの?と躊躇してしまいましたが、その先にあるのが踏切であるならば、ここから入っちゃいけないということはないですよね。よし、と心を定めて奥へ進むと、視界が開けて線路際に出ました。うん、第四種踏切です。間違いありません。
ちょうど1本、電車が横切りました。うーむ、前触れなく電車が来るのはやっぱり怖いなぁ。
踏切内に入る前に、左右をよく確かめましょう。よし、次の電車、来ていませんね。
線路がちょっと低いところにありますので、トントンと4段下りて踏切の中に入ります。見通しはまずまず良いので心配することなどないのですが、なんだか足元がムズムズする気がして落ち着きません。早いところ向こうに渡ってしまいましょう。
渡った先でもトントンと4段上がると、線路と工事用フェンスに挟まれたスペースに、ふさぐのを忘れただけなんじゃないの?って思いたくなるような狭い通路がつけられています。そのまま進むと、これまた個人のお宅の玄関先みたいなところに出て、短い急坂を下りると、そこはさっき都電を降りた東池袋四丁目の停留所のすぐ目の前。おぉ、ここに出てくるんだ。
なんで最初に踏切への入口を探したとき、この道に気づかなかったんだろう…ってその理由は明白で、どう見てもそこにある2~3軒に行くための行き止まりの道にしか見えません。しかも、さっき玄関先を抜けたお宅に「録画中」とか「通報します」とか妙に物々しい看板があって、脇を抜けて先へ進めるような雰囲気でもありませんし。
知らずに踏切からこちらへ抜けてきてしまいましたが、この警告看板、踏切側からは見えませんでしたし、反対側の入口(最初に踏切に向かった路地)には立入禁止って書いていませんでした。私、何も悪いことしてませんよね(汗)
まぁとにかく、この道では玄関先を抜けないことには踏切に行けません。咎められてもつまらないですから、ここは通らずに、ぐるっと回って、さっき通った反対側の路地から踏切へと戻ります。
写真を撮りながら、何本か電車を見送りましたが、私のほかに踏切を渡る人は1人も現れませんでした。ここを通ったからと言って、どこかへ行くのに大して近道になる訳でもなく、実態上、踏切としての役割を終えているんじゃないですかね。逆に廃止になっていないのが不思議な踏切でした。
選外 向原-大塚駅前間の踏切
東池袋四丁目の停留所に戻り、再び都電に乗って先へ進みます。
2つ先の「大塚駅前」の手前に… おっと遮断機のない踏切発見。
しかも3つ連続で。ここも見に行ってみましょう。
うーん…。
簡素な警報機がありますから、分類するとすれば第三種なんでしょうかね。
ただ、あんまり踏切っぽくないんですよね。それをいったら元も子もないですけど。
警報音がカンカンカン、ではなくてピンポーン、ピンポーンだったり。
前後の線路敷がコンクリートなせいもあるんでしょうけど、踏切っていうより横断歩道のような感じですし。
なにより交互に点滅する赤い警告灯も、シマシマバッテンの踏切標識もないんですよね。
前後がコンクリ敷で、警告音がピンポーンで、交互点滅の警告灯もシマシマバッテンもない場合は「横断歩道」であって「踏切」ではない。まことに勝手ながら、そう決めさせていただきます。理由は「私が探している、私のイメージする踏切とは違うから」。私がルールブックです。はい。
100mほど南に歩いてきました。こちらも先ほどの「踏切ではない」定義そのまんまです。
見た感じ、さっきよりは「踏切っぽい」気もしますが… いやいや、もう決めてしまいましたからね。定義を見直そうにも、さっきの「横断歩道」と何が違うのかって、せいぜい「狭い」ぐらいしか違うところはありませんから。
というわけで、向原-大塚駅前間には、私の探す「踏切」は見つかりませんでした。
そう言い切ってしまいます。はい。
候補B 巣鴨新田-庚申塚間の踏切
大塚駅前から再び電車で先へ進みます。
巣鴨新田を過ぎて、間もなく庚申塚… おっと、直前の踏切に遮断機がありませんでしたぞ。
行ってみましょう。
うーむ、またこれは微妙な。
「電車がきます」という電光掲示とともに、優しいチャイムが流れる踏切。
警報機があるかないか、と問われれば「ある」と答えざるを得ないので、第四種ではなくて第三種ですかね。
第三種というからには、やっぱりあのカンカンカンというけたたましい警報音が欲しいところですが。
もともと警報機の無かった踏切に新たに警報機をとりつける場合、早朝から深夜までカンカンカンとやられると周辺にお住まいの方に迷惑がかかるでしょうから、優しい音の警報機にせざるを得なかったんでしょうかね。
カンカンカンと言わないのはダメ!とか、さっきみたいに好みで定義を変えてしまい衝動にかられますが、きりがないのでここは「第三種」と認めることにしましょう(何をエラソーに)。
ところで、この「電車がきます」という電光掲示。
表示が始まるのが、電車通過の2秒前。
…って、いくらなんでも直前すぎませんかね。
前後の見通しは良くて、電車が近づいてくるのがよく見えるので、危険な感じはしませんが。
さすがに意味なくない?とか思ってしまうのでありました…。
候補C 新庚申塚-西ヶ原四丁目間の踏切
庚申塚を出た電車は、次の新庚申塚で国道17号線(中山道)を渡ります。
1966年まで走っていた都電志村線とは、ここで平面交差していたのですね。今ではその面影を感じられるものは何も残っていないようです。
中山道を渡って次…
あれ?今の踏切、遮断機がなかったんじゃない?
乗ったばかりなのに慌ただしい限りですが、次の西ヶ原四丁目で降りて、歩いて戻ります。
ありました。間違いなく第四種踏切です。
遮断機も警報機も、シマシマバッテンの標識さえありません。
この踏切、渡った先が細道になっているとはいえ、車が余裕をもって渡れるぐらいの道幅があり、向こう側にはマンションも建っていて人通りもそれなりにあるでしょうから、普通に第一種踏切に転換されても良さそうな感じに見えますが、第四種のまま残されています。
注意を喚起する東京都交通局の看板も建てられていますから、東京都にもしっかり認知されているようですが。私道のようですし、警報機や遮断機が設置できない事情でもあるんでしょうかね。
候補D 荒川車庫前の構内踏切
先へ進みましょう。
新庚申塚の3つ先が飛鳥山。ここから次の王子駅前までの1区間は併用軌道で、自動車に囲まれて走ります。荒川線は路面電車と言いますけれど、車と同じ道を走るのはここだけですね。ほんの2~3分、車との並走を楽しみ、王子駅前からは再び専用軌道に入ります。
次々に踏切を通過しますが、このあたりは警報機も遮断機もある第一種踏切ばかりです。栄町、梶原と過ぎて、次は荒川車庫前。ここはちょっと変わった構造で、降車用ホームと乗車用ホームが分かれています。手前の降車用ホームで一旦停まって、お客さんを降ろした後に80mほど先の乗車用ホームに移動するのですが…。
おや?
乗車用ホーム手前の踏切、遮断機がありませんよ。
すぐにでも降りて確かめたいところですが、いま停まっているのは乗車用ホーム。降りられないので次の荒川遊園地前まで行って、反対方向の電車で荒川車庫前に戻ってきました。こういうことが気軽にできる一日乗車券って便利ですね。
おぉ、やっぱり遮断機がない。
向こう側に電光掲示がありますが、お知らせが流れているだけで電車が接近しても表示は変わりません。警報音も鳴りませんね。第四種踏切のようです。
長い直線区間で見通しが良いので、渡ってみてもそんなに怖さは感じせん。上り線と下り線のホーム(どっちが上りでどっちが下りか知りませんが)をつなぐ構内踏切で、発車直後と到着直前の電車がゆっくりと通過するだけですから、安全確保上、遮断機をつけなくても問題はない、ということでしょうかね。
それにしても、これで4か所めですか。荒川線でも第三種・第四種踏切はどんどん解消されているイメージでしたので、こんなに残っているのはちょっと意外です。この先にもまだあるでしょうかね。再び電車に乗って探してみましょう。
荒川車庫前から2つめの小台を過ぎると、遮断機のない道と次々に交差しますが、起点の早稲田あたりと同じで、電車は道路信号に従って進んでいきますので、これらは「踏切」ではなくて「交差点」あるいは「横断歩道」として候補から除外することにします。
このあたりは、昭和の終わり頃までは車と一緒に走る併用軌道でした。今は線路と道路が縁石で区切られて、車が線路敷に入っていけないようになっていますが、あえて高いフェンスなどで囲っていないのは、当時の雰囲気を残す工夫なのかもしれませんね。
候補E 荒川七丁目-荒川二丁目間の踏切
電車は町屋駅前で京成線の高架をくぐり、そろそろ終点が近づいてきました。
もう新たな発見はないかな… と思い始めたそのとき。
おっと。
今、遮断機がない踏切を通りましたよ。
場所は、終点の三ノ輪橋から4つ手前、荒川七丁目を出てすぐ。次の荒川二丁目で降りて戻りす。
警報機がありますから、第三種踏切ですね。「止まれ見よ」の錆びた看板が、なかなか良い味を醸し出しています。
先ほど見た庚申塚の第三種踏切は、優しい警報音と電光掲示の、いわば「ソフト第三種」でしたが、ここは「交互点滅の赤色灯、シマシマバッテン、カンカンカン」の3点セットが揃った、イメージ通りの第三種踏切です。あぁよかった、こういう典型的な第三種が見つからないまま今日の探索を終えていたら、もやもやが残って「東京駅から一番近い正統派第三種踏切はどこだ!」ってまた探しに行きたくなるところでした。
この踏切、渡った先にゲートがありますね。どうやら、向こう側のお宅(会社かもしれませんが)にしか行けない踏切のようです。この記事の最初で触れた「プライベート踏切」。もはや遠い記憶だけしか残っていないと思っていたのに、こんなところに残っていたとは!
あとで地図で確かめてみたら、三角形の区画の二辺を下水処理場の壁と線路で挟まれ、最後の一辺は他の家でぴったり塞がれているので、ここに出入りするには線路を渡るしか方法がないようです。カーブであまり見通しが良くないのですが、いつも使っているこちらのお宅の方以外に渡る人がいないので、遮断機がなくても大丈夫、ということでしょうかね。
やがてカンカンカンと警報が鳴り、カーブの向こうから電車が姿を現しました。
電車はゆっくりと踏切を通過していきま…………
あれ?
通過、しないの?
電車は踏切上で止まってしまいました。
おまけに警報音も、赤色灯の点滅も止まってしまいました。まだ電車はそこにいるのに。
どういうこと…?
実は、この踏切からほんの数メートル先に交差点がありまして。
赤信号で電車が停止すると、車体が手前の踏切を塞ぐ形になってしまうのです。
それにしても、まだ電車が通り過ぎていないのにカンカンカンが止まるのってどういうことよ?とか思ってしまいましたが、考えてみれば目の前に電車がどどーんと鎮座している以上、これ以上警報音で注意喚起する必要などない、ということでしょうね。近隣住民への配慮という視点でも、大きな音を出す時間はできるだけ短くした方が良いですから、警報音を途中で打ち切るのも意外に合理的かもしれない、と思い直すのでありました。
先へ進みましょう。
荒川七丁目を出た電車は、荒川二丁目、荒川区役所前、荒川一中前と進み(このあたり荒川シリーズですね)、新たな第三種・第四種踏切を見ることなく、終点の三ノ輪橋に到着しました。
これにて本日の探訪終了。ふぅ~ちょっと疲れました。あとは家に帰って、どれが「東京駅から一番近い」か検証ですね。
検証編
都電荒川線では、2つの第三種踏切と、3つの第四種踏切が見つかりました。
それぞれ、東京駅からの距離を測ってみましょう。「キョリ測」出動!
第三種踏切
- 7.22km 候補B 巣鴨新田-庚申塚間の踏切
- 6.91km 候補E 荒川七丁目-荒川二丁目間の踏切
第四種踏切
- 6.41km 候補A 都電雑司ヶ谷-東池袋四丁目間の踏切
- 7.43km 候補C 新庚申塚-西ヶ原四丁目間の踏切
- 7.82km 候補D 荒川車庫前の構内踏切
机上探索編でも書きましたように、都電荒川線より東京駅に近いところに第三種・第四種踏切などない、と言い切ってしまってよろしいですよね。というわけで、結論。
東京駅から一番近い「第三種踏切」:東京駅から6.91km 荒川七丁目-荒川二丁目間の踏切
東京駅から一番近い「第四種踏切」:東京駅から6.41km 都電雑司ヶ谷-東池袋四丁目間の踏切
※「第四種踏切」は追記(追加取材)があります。以下引き続きお読みください!
【追記】現地訪問編ふたたび 都電荒川線 2023年4月9日
2023年1月のある日。
なんとなく思い立って、あの東京駅から一番近い、東池袋四丁目の「第四種踏切」に久々に立ち寄ってみました。
そうしたら…ん?なんか工事やってる…。
工事の中を割り行っていくわけにもいかず、その日は例の踏切を渡れずに帰ってきました。
あの工事、なんかフェンス立てようとしていたよね。
まさか、踏切廃止…?
日を改めて確かめに行こう、と思いつつ、うだうだと時を過ごし、気がつけば春4月。
ようやく重い腰を上げて行ってまいりました。
この、見覚えのある路地の奥。
やっぱり、様子が変わっていますよね。行ってみましょう。
おっと!
やっぱり、そういうことですか。
踏切廃止。最初に行ったときのレポートで「廃止になっていないのが不思議な踏切」なんて書いてしまっておりましたが、現実になってしまいましたね。
金網の向こうに残る、役割を終えた「止まれ見よ」「ふみきりちゅうい」の標識が寂しそうです。
そうすると、候補C 新庚申塚-西ヶ原四丁目間の踏切 が繰り上げ第1位ということ?
こちらも廃止されていたりしないでしょうか。確認に行ってみましょう。
都電だとここから5駅ですが、今日は自転車。大した距離ではありませんが、意外にこのあたり坂道が多くて、ふぅふぅ言いながら新庚申塚を目指します。
汗をかきかき、目的の踏切に到着。
こちらの第四種踏切は健在ですね。相変わらずあけっぴろげな踏切です。
三ノ輪橋行きの電車が、速度を落として慎重に走り去っていきました。
安全を考えれば「なんで第一種踏切に転換しないの?」ってなところですが、どこかへの抜け道になっている訳でもなく、事情を知らない通行人が入ってくるようなロケーションではありませんので、現実問題としてこのままでも支障ないのかもしれませんね。
というわけで、検証結果の書き換えが必要となりましたので、改めての結論でございます。
結論(2023年1月6日~):
東京駅から一番近い「第三種踏切」:東京駅から6.91km 荒川七丁目-荒川二丁目間の踏切
東京駅から一番近い「第四種踏切」:東京駅から7.43km 新庚申塚-西ヶ原四丁目間の踏切
追伸…
今回、東京駅から一番近い第三種・第四種踏切についてレポートさせていただきました。
ただ、都電荒川線は「軌道線」ですよね。
軌道線はそもそも路面電車として、遮断機のある踏切以外にも渡れるところは普通にあるので、第三種・第四種踏切といっても「交差点」や「横断歩道」と大差なく、レア感としては少々物足りない気もします。
「軌道線」ではなく「鉄道線」の、「東京駅から一番近い」第三種・第四種踏切はどこにあるのでしょうか。
ざっと探した限りでは、第三種で一番近いのは前述した東海道貨物線の「救護センター踏切」で、第四種ではたぶん東京駅の東北東、千葉県境を超えた先にあるアレでしょう。でも…。
結論として。
レポートするのは、やめておきます。
なぜって?
怖いから。それしかありません。
都電の第四種踏切は、一般道の信号のない交差点で「車に気をつけましょう」っていうのと似たようなものでしょうが、時速100km近い電車が行き交うような鉄道線で第四種とか、正直見るだけでも怖いです。実際、日本中あちこちの第四種踏切で事故も起きています。興味本位で記事にするのは控えさせていただきますね。
というわけで、今回のレポートはこれにて終了。最後までお読みいただきありがとうございました。