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甲斐国一宮は「浅間神社」。
駿河国一宮は「浅間大社」。
なぜ、富士山なのに「浅間」?
浅間といえば信濃の浅間山でしょうに。
不思議ですよね。ちょっと調べてみましょう。
安田徳太郎氏の著書「人間の歴史」(光文社・1954年)では、富士も浅間もマレー語やタガログ語などの南方語由来で、「煙」を意味するaso, asapが阿蘇や浅間となり、「素晴らしい」を意味するpujiが富士の語源であるとの説が示されています。この説を採ると、アサマ山は普通名詞(富士山や浅間山に限らず火山一般を指すもの)、フジ山は固有名詞(他の山とは異なる特別な意味で名付けられたもの)と言えるでしょう。
一方で、菱沼右一氏の著書「アイヌ語よりみた日本地名新研究」(中央情報社・1939年)では、アサマもフジもアイヌ語由来であるとして
「火山であれば皆フジ山である。同時にアサマ山の『火の支配者』であるから火山は皆アサマと云ひ得る」
との主張がなされています。この説ではアサマもフジも火山を意味する一般名詞ということですね。
どちらの説でも共通しているのは、「アサマ」=「火山」であって、信濃の浅間山に限った名称ではないということ。言ってみれば「浅間神社」とは「火山神社」ですので、富士の麓にあって何の不思議もないと言えそうですね。
これ以外にも、富士・浅間の語源は文字通りの「諸説あり」。調べはじめてみると議論百出で興味は尽きませんが、アクセスガイドという当ページの目的から離れていってしまいますのでこれ以上のご紹介は控えさせていただきます。面白いテーマだと思いますので、興味のある方はぜひ調べてみてくださいませ。
というわけで、今回は浅間神社へのアクセスのご紹介でございます。
浅間神社に電車・バスで行くには
浅間神社へは、東京(新宿)からは高速バス1本で行けてとても便利な一方で、甲府など山梨県内からのアクセスは不便、という遠近逆転した少々困った特徴がございます。
同じことを逆から言えば、東京から高速バスで参拝した後、別の場所(県内観光や諏訪大社参拝など)に向かうには交通手段に恵まれておらずかなり不便、ということでもあります。
山梨県内から行くならJR中央本線の山梨市駅からタクシー、というのが一般的なアクセス方法かとは思いますが、ここは電車・バスにこだわって行き方を紹介させていただきます。
目次
東京から浅間神社へ
東京から山梨県へ向かうとすれば、真っ先に思い浮かぶのは特急「あずさ」などJR中央本線でしょう。
しかし、中央本線の駅から浅間神社へのアクセスが、残念ながらあまりよろしくありませんので、浅間神社参拝には中央本線利用ではなく、バスタ新宿から甲府行きの高速バスを利用するのが便利です。
(それでも中央本線で行かれたい場合は、後述の「山梨県内から浅間神社へ」をご参照ください)
山梨交通「竜王・甲府-新宿線」時刻表
新宿から甲府行きの高速バスは、「石和(いさわ)経由」と「甲府南経由」の2系統があります。
どちらも浅間神社参拝に使えますが、より神社の近くまでバス1本で行ける「石和経由」がおすすめです。
「石和経由」のバスに乗った場合
- 新宿から1時間40分の「一宮」バス停で下車します。
- バスを降りたら、バスの進行方向と反対(新宿に戻る方向)に進みます。
- 750m先(歩いて10分)の「一の宮浅間神社入口」交差点(大きな鳥居がある)で左折し、鳥居をくぐって直進します。
- 300m先(歩いて4~5分)の突き当たりが浅間神社です。
なお、帰り(新宿行き)の「一宮」バス停は、行きに降りた甲府行きの「一宮」バス停とかなり離れています(甲府行きバス停のの350mほど東にあります)。迷いやすいですのでご注意ください。
↓新宿行きの「一宮」バスまでの地図はこちらです。
「甲府南経由」のバスに乗った場合
- 新宿から1時間40分の「中央道甲斐一宮」バス停で下車します。
- 高速道路上にあるバス停から階段を降りると一般道に出ますので、左方向に進みます。
- しばらく高速道路沿いの道ですが、そのまま道なりに進むと700m先(歩いて10分弱)で高速道路のガードをくぐり、その先で突き当たりになりますので右折します。
- 右折したすぐ先に橋(新大石橋)があるので、渡らずに左折し、しばらく道なりに進みます。
- 700m先(歩いて10分弱)の鳥居をくぐり、さらに300m(歩いて4~5分)進めば浅間神社に到着です。
山梨県内から浅間神社へ
甲府など山梨県内からの参拝にあたって、先ほどご紹介した「竜王・甲府-新宿線」のバスが使えればいいのですが、このバスは甲府から乗って一宮(または中央道甲斐一宮)で降りることが認められていません。なので他の交通手段を探す必要がございます。
選択肢としては、次の3つが考えられます。
どれも本数が少ないので、それぞれの時刻表をお調べいただき、運行時刻に合わせて参拝プランを立てる必要がございます。
- 石和温泉駅から「笛吹市営バス」(2026年3月廃止)利用→「中銀一宮支店前」バス停下車すぐ
- 山梨市駅から「山梨市営バス」利用→「上栗原」バス停から徒歩30分
- 塩山駅または勝沼ぶどう郷駅から「勝沼地域循環バス」利用→「藤井交差点北」バス停から徒歩30分
石和温泉駅から「笛吹市営バス」(2026年3月廃止)利用
→笛吹市営一宮循環バス時刻表
曜日ごとに運行時刻とルートが異なりわかりづらいのですが、行き帰りとも笛吹市営バスを使うならば、次の4パターンが考えられます(2025年2月時点の時刻)。
「中銀一宮支店前」で降りれば、浅間神社は目の前です。
以下、時刻表と見比べながらお読みください。
- 月~金曜日のみ
石和温泉駅7:38発の「1便」(通勤・通学便)に乗り、田中公民館(金曜日は一宮温泉病院)で「2便」に乗り継いで「中銀一宮支店前」下車
→ 参拝後、「3便」で石和温泉駅に戻る
(浅間神社滞在時間は1時間半~3時間半で、曜日により異なる) - 火・木・土曜日のみ ←おすすめ
石和温泉駅11:00発の「3便」に乗り、「中銀一宮支店前」下車
→参拝後、「4便」で石和温泉駅に戻る
(浅間神社滞在時間は1時間半) - 月・水曜日のみ
石和温泉駅12:00発の「4便」に乗り、「中銀一宮支店前」下車
→参拝後、「5便」に乗車、田中公民館で「6便」に乗り継いで石和温泉駅に戻る
(浅間神社滞在時間は4時間) - 火・木曜日のみ
石和温泉駅13:00発の「4便」に乗り、「中銀一宮支店前」下車
→参拝後、「5便」に乗車、田中公民館で「6便」に乗り継いで石和温泉駅に戻る
(浅間神社滞在時間は3時間20分)
浅間神社の目の前まで行けるありがたい「笛吹市営一宮循環バス」ですが、2026年3月限りでの廃止が既に決まっています。
市営バスに代わり運行されるAIデマンド交通「のるーと笛吹」は、「笛吹市に住民登録している人」と「親族の介護、帰省などのために利用を希望する人」しか利用が認められないとのことで、残念ながら参拝目的では利用できないようです。
上野国一宮 貫前神社のある群馬県富岡市のAIデマンド交通「愛タク」のように、割増運賃でも全く問題ないので市外からの参拝者にも使わせていただけるとありがたいのですが、車両や運転手の確保など諸々課題があるのでしょう。将来の改善に期待したいですね。
山梨市駅から「山梨市営バス」利用
→山梨市営バス(山梨循環線南回り)時刻表
運行便数(2025年2月現在)平日、土曜・休日とも1日6便
道順
- JR中央本線の山梨市駅から、山梨市営バス「山梨循環線南回り」で8分、「上栗原」で下車します。
- バスと同じ方向に進み、すぐ先の突き当たりを左折、さらにすぐ先の「上栗原」交差点を右折します。
- 約2kn(歩いて30分)道なりに進むと、道沿いの右側に浅間神社があります。
塩山駅または勝沼ぶどう郷駅から「勝沼地域循環バス」利用
→勝沼地域循環バス(ぶどうコース)時刻表
運行便数(2025年2月現在)
- 塩山駅から 平日1日3便、土曜・休日運休
- 勝沼ぶどう郷駅から 平日、土曜・休日とも1日3便
道順
- JR中央本線の塩山駅または勝沼ぶどう郷駅から、勝沼地域循環バス「ぶどうコース」に乗り、「藤井交差点北」で下車します。
「ぶどうコース」には「ぶどうコース1」(左回り)「ぶどうコース2」(右回り)の2種類の系統がありますが、どちらに乗っても大丈夫です。 - 「藤井交差点北」バス停は、緩い坂道の途中にあります。
バスを降りたら、バス通りを上り坂方向に、道なりに進みます。 - 200m先(歩いて2~3分)の「藤井」交差点を右折します。
ここからしばらく甲州街道を歩きます。 - 1400m先(歩いて約20分)の「石」交差点を右折します。
- 道なりに進み、300m先(歩いて4~5分)の右側に浅間神社があります。
山梨市駅からレンタサイクルという手もあります
山梨市駅から徒歩1分の「街の駅やまなし」(駅北口を出て、正面の道を進んだ左側)で自転車を借りることができます(有料・事前予約可)。
バスは不便ですので、天気がよければ自転車を使ってみてはいかがでしょうか。
山梨市駅前から浅間神社まで5.4km、時速10kmの安全運転で片道30分ちょっと。
いちども曲がることなく、道なりに走るだけですので迷う心配もありません。
ただ、緩やかな坂道が続くところもありますので、もし不安でしたら電動アシスト付き自転車を借りるのがおすすめです(借りるとき充電満タンをご確認ください)。
それでは、お気をつけてお出かけくださいませ。
