上野、下野、信濃、甲斐、美濃、飛騨、近江、伊賀、丹波、大和、河内、美作。
令制国のうち、海に面していない国は12。結構ありますね。
そのなかでも、ひときわ険しい山中にあるのが飛騨国です。
ここを南北に貫く鉄道路線の「高山本線」が全通したのは1934年のこと。水無神社のある大野郡宮村(現在の高山市一之宮町)にも「飛騨一之宮駅」が設けられ、手軽に参拝できるようになりました。開通直後に出版された「宮村紀要」には、村を挙げての祝賀の様子が記されています。
昭和九年十月二十五日飛騨住民の渇望して止まなかった鉄道は高山駅に於て南北両線合し、高山本線の名で全通した。本村では全通祝賀に際し一之宮駅前には水無神社鳥居を型どった大アーチを作り、駅前道路には奉祝灯篭を掲げ、御旗山には祝全通の電飾を施し、尚二十六日には水無神社で奉告祭及び獅子舞の奉納が行はれ、同日夜は一之宮座で青年・處女・在郷軍人等が主催して祝賀演芸大会を挙行した。 |
高山商工会議所会頭であった高田弥一郎氏の記すところによると、明治40年頃から大正の初めにおいても、飛騨で産出される白木の運搬には名古屋まで荷車や馬車で5日かかったそうですから(「飛騨の交通運輸」1967年・飛騨運輸株式会社企画室編 より)鉄道の開通は飛騨に暮らす人々にとって革命的な出来事だったことでしょう。
現在ではモータリゼーションの進行で貨物列車が姿を消し、旅客輸送も減少傾向にあるJR高山本線ではありますが、電車・バス巡拝派としては(電車じゃないですけど)開通当時の地域の方々の喜びに思いを馳せつつ、鉄道があることのありがたさを噛みしめて参拝させていただくことといたしましょう。
というわけで、今回は水無神社へのアクセスのご紹介でございます。
水無神社は、高山の市街地から南に6kmほどのところにあります。
神社最寄りの飛騨一ノ宮駅には特急が停まりませんので、まずは高山駅まで行ったうえで、普通列車かバスで水無神社へ向かうのがおすすめです。
東京・大阪・名古屋から高山へ、早いのは鉄道利用、安いのは高速バス利用です。
カレンダーとお財布をしっかり見比べて、交通手段をお決めくださいませ。
高山へは、JR高山本線の特急「ひだ」で、名古屋から約2時間30分、富山から約1時間30分です。
東京からは、次の2ルートがあります。
大阪からは、高山行き特急「ひだ」が1日1本だけあります(2025/2現在、大阪8:02発→高山12:14着)。
他の時間帯では、ちょっと遠回りになりますが、東海道新幹線「のぞみ」→名古屋で特急「ひだ」に乗り継ぐのが一般的でしょう(約4時間)。
高山へは、東京・大阪・京都・名古屋・金沢・富山などから高速バスの便があります。
各路線の時刻・運賃は濃飛バスのWebサイトでご確認ください。
高山駅から水無神社へは、濃飛バスの下呂行き(1~2時間に1本)か、JR高山本線の普通列車(2~3時間に1本)で向かいます。
どちらも本数が少なめですので、事前に時刻表を調べて、都合の良い時間に乗れる方でお出かけください。
濃飛バス時刻表 JR高山本線(高山駅→飛騨一ノ宮駅)時刻表
高山駅東口の「濃飛バスセンター」から下呂行きの特急バスで15分、「飛騨一之宮」バス停で下車します。
バスを降りたら、すぐ近くの歩道橋のある交差点を左折すれば、正面に見えるのが水無神社です。
高山駅から普通列車(岐阜方面)で1駅7分の「飛騨一ノ宮」駅で下車します。
(特急は「飛騨一ノ宮」駅に停まりませんのでご注意ください)
ご案内は以上です。それでは、お気をつけてお出かけくださいませ。