アミューズ・ミュージアムは2019年3月末で閉館となりました。「ちょっと前の日本」を、他の博物館・美術館とは異なる目線で感じさせてくれる博物館だっただけに残念です。2020年以降、新美術館の開館を検討されるとのことですので期待しましょう。
アミューズ・ミュージアムへの行き方
たばこと塩の博物館の次は、浅草寺横の「アミューズ・ミュージアム」へと向かいます。
アミューズ・ミュージアム?知らないなぁ…。
長年東京に住んでいて、浅草にも何度となく来ていますが、聞いたことがないですね。
私のアンテナが低いだけかもしれませんが
ぐるっとパスには、私の行ったことがない施設もいっぱいあって、なんだかわくわくします。
さて、アミューズ・ミュージアム、どんなところなのでしょうか。
たばこと塩の博物館に近い東京スカイツリーから浅草には、東武線か都営浅草線で行くのが普通でしょうが、しばらく運休していたこの地域の無料巡回バス「パンダバス」が復活したとの情報が。
40分に1本と便数が少ないので、ちょっと使いづらいのですが、「無料」に惹かれて、また復活祝いの気持ちも込めて、パンダバスで向かうことにしました。
というわけで、パンダバスです。
いちど見たら忘れられないこのフォルム。
ちょいと賛否両論気味ですが、いいじゃない、かわいいと思えばかわいいですよ。絶対、ね
とうきょうスカイツリー駅前から二天門まで約10分。降りればアミューズ・ミュージアムはすぐそこです。
通りから見ると、博物館の雰囲気ではなくて、どう見ても服飾雑貨店。
あれ、ここ?…でも、確かに看板にはAMUSE MUSEUMと書いてあります。
ちょっと戸惑いましたが、店内に入ればちゃんと受付がありました。あぁよかった
テーマは「BORO」。
え?BOROって何?
まだわかってない私です
なるほど。
BOROって襤褸ですか。←遅いっ(笑)
布地が今よりずっと貴重だったころの、破れ、擦り切れてぼろぼろになり、つぎあてを繰り返してきた衣類の数々。
ほとんどが写真撮影OK、手で触れてみるのもOK。
肌にあてると、貧しい暮らしの中で寄り添う家族の様子が目に浮かんできます。
博物館を巡っていると、西陣だの友禅だの煌びやかな和装ばかりが昔の日本のように勘違いしてしまいかねませんが、いや、そう、私たちのほんの少し前の世代まであった「あたりまえ」の衣服の姿はこちらなんですよね。
これらの展示は民俗学者の田中忠三郎氏が、青森の農村を丹念に回って収集したコレクションだそうです。
襤褸着を渡すのなど恥ずかしいからと拒絶されたことも多かったとのこと。古老と話し、心を通じ合わせて譲り受けた衣服の数々。世代とともに失われていったであろう村々の生活の様子を、今こうして窺い知ることができるのは、彼が集め、残してくれたからに他なりません。
展示室には田中氏の著作「物には心がある。」からの引用がいくつか掲示されています。
これがまた温もりを感じる素敵な表現で、貧しくも健気に生きる家族の姿が伝わってきます。
襤褸着だけでなく、台所用品、衣装箪笥、掛け時計といった生活用品の数々も展示されています。
田中氏のコレクションは2万点にも及ぶとのこと。
ここで見られるのはその一部ですが、彼が生涯をかけて集めた品々、是非皆さんも現地でご覧になってください。
最後は屋上へ。
浅草寺のすぐ隣だったんですね。
アミューズ・ミュージアム。
知らないなぁ、などと失礼な書き方をして申し訳ありませんでした。
ぐるっとパスのおかげで、BOROの魅力、知らずにいた田中忠三郎氏の世界に触れることができました。
浅草寺詣でのついで、ではなく、アミューズ・ミュージアムを見るために浅草に行く。
それだけの価値のある美術館だと思います。
アミューズ・ミュージアムは、建物の老朽化を理由に、2019年3月31日限りで閉館が決まっています。
行くなら今しかありません。
A!SMARTに、アミューズ・ミュージアムの辰巳館長のインタビュー記事があります。
私は帰宅後に読みましたが、こちらで館長の想いに触れてから訪れれば、さらに深い感動が得られることでしょう。是非お読みになってからお出かけください。
次の見学先:一葉記念館