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    2023年2月11日、現地で碑文を転記したものです。
    元の文は漢字(旧字)と片仮名、句読点なしで記載されていますが、読みやすいよう漢字(現代字)+ひらがなに改め、句読点及び改行を挿入しました。また碑文が摩耗しており、判読できなかった箇所はやむを得ず「××」と記載しました。誤記があるかもしれませんがご容赦ください。

    参照元記事:理想の新別荘地ランキング(ただし大正五年版)

    「豊楽園」碑文

    本園は古来、稲荷神社の鎮座地なりしを以て稲荷山と称せしが、維新の際、里人相謀り、稲荷神社を村社北野神社に併合せしに因り、跡地は官有林となりたり。

    そもそも本園は元来鬱蒼たる森林にして、東西二か所より清泉滾々として湧出す。因て之を灌漑の用に供し、余水は水車に利用せり。

    是を以て加藤豊太郎君の祖父以来、大に此森林の保護に不断の注意を払い××ありたり。

    顧れば今を距ること五十余年前、君の厳父八十七君は時の戸長と協議し、之を共有林と成さんとせしが、惜哉功を奏せず、君はその父祖の遺志を体し、明治三十五年中村社に払下げんとかを効せしも、不幸にして復果さず、而来徒拱手傍観せしに、偶隣村人の払下たるところとなりしを以て、同家に交渉を重ね、今村なる君の所有地と交換し、此所有権を獲得することを得たり。

    之に因り多年の素志連成せしかば、単に水源涵養の地となすのみならず、兼て一般公衆の行楽地と成さんとし、桜楓樹を交植し、君の旧宅趾に鎮斎したりし稲荷神社を守護神として本園に移転し、更めて豊楽園と命名せり。

    君は将来敬神の念深く、去る昭和四年中、村社北野神社の社殿改増築を企画し、率先して数千円を寄進せしかば、氏子一同その熱誠に感激賛同し、速に初志を遂行するを得たり。

    是に於いて本園の稲荷神社にも石狛狗一対と石鳥居一基とを奉献し、神社崇敬の誠を象徴し、又家憲として本園に将来永久斧欣を入れざることとし、是を子孫に伝えんがため記念碑を建設せんと欲し、三室戸子爵閣下に請ひてその揮毫を得たるもの、即是余は初より官有林払い下げ出願及び建碑のことに関与せし縁により、本園の由来を略叙し、併せて敬神の念深く公徳の心厚き加藤家の益々隆昌にして家憲の永久遵守せられんことを祈る。

    昭和七年六月吉日 従七位 朝賀喜一 記
    建設者 加藤豊太郎

    豊楽園神社と豊楽園の碑

    所在地:東京都練馬区土支田4-14 「稲荷山憩いの森」内


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